1個380円のパンは高いのか?判断が割れる理由

日常

昔からある有名なパン屋に行った。駐車場に車を停めて店内に入る時、店内から出てくるおばさん3人組が「やっぱり高いね~」と言い合っていて、私とすれ違った。

(そうなのか)と思いトレイとトング?を持ち、それでも”私の食指が動く”パンをトレイに乗せて選び、購入した。先程のおばさん達の「高いね~」もどこかに頭にはあったが、これは独身男性特有の現象かもしれないが、大体にして男性は物(特に食べ物)の値段が、良く分からない。極小のパンでも200円以上すれば、少し凝ったパンだと1つ380円とかする。何も、店側も”時価”とか”シークレット”にしている訳ではなく、ちゃんと価格を公表しているのだが、200円と言われても380円と言われても「これは高い!」「妥当だ!」「お得だ!」とかが良く分からない。

結局良く分からないものの集積として、会計をすると3000円ちょっとだった。単品ではわからなかったものが、総額で見ると、「高いっちゃ高いのかな」と私は感じたが、明確に高いとも安いとも言い切れなかった。

先の、おばさん3人組の「高い」派と、私の「良く分からない/総額としては高いのかな」派の違いが何故分かれるのか、構造的に考えてみたい。

  • 単価vs総額

実際私が単価では高い/安いが分からなかったものが総額になると高いかもと感じたように、良し悪しではなく、まず単価を重点的に着目するタイプ、私のように総額に着目するタイプに分かれると考えられる。そして、店先ですれ違ったおばさん3人組は、恐らくは前者タイプ。実際、おばさん3人組の持っていたパンはどう見ても少量で、一人は何も持っていなかった、つまり購買に至らなかったのだろう。

  • 遠い記憶のパン価格(アンカーとなる基準価格)

非喫煙者にはなんのこっちゃということになると思うが、喫煙者にはピンと来る例を。喫煙所で喫煙している時、何故か必ず定期的に、「昔はマイルドセブン230円だったのによ~」とか何の脈絡もなく嘆く奴が全国津々浦々、別に統計を取った訳ではないが、必ずいる。要は現在のタバコの価格が高いということを言っている訳だが、調べてみると、マイルドセブンが230円の時は、1997年頃、要はざっくり30年前の価格を示して、それで嘆いているのだ。ラーメン屋に入って、「昔はラーメン一杯300円だったのによ~」とか嘆く奴がほとんどいないことを考えれば、喫煙者にとってはタバコはそれほど日常の一部、身近であることを意味する。

嘆いてどうなる?と問われれば、別にどうもならないし、何もできない。しかししっかりと心の奥底には刻まれているから、つい言葉にも出てしまう、これがアンカーとなる基準価格だろう。

話をパンに戻せば、昔のそのパン屋の価格、もしくはスーパーマーケットでのパン価格、そういったものがおばさん3人組なりにあるのだと考える。もしとんでもないセレブ家庭に生まれて、超高級パンしか口にしたことがない子どもが成長したとしたら、単にお金があるとかないとかではなく、その店に来たとしても「高い」とはならないだろう。正確には、「高いのか安いのか分からない」私と同じ状態になるものと思われる。

それでは私の場合はどうなのか?セレブ家庭に育った?否。理由は、圧倒的に買い物の経験値がないから。子どものころは、親が買ってきたパンを食べ、長じても幸か不幸か、パン好きな妻もいなければ、パンを食わせて味覚の経験をさせ、以て(味覚が)豊かに育ってほしいと思う子どももいない、また、狂おしいほどの渇望をパンには感じない自分は、その店に足を運んだことはほとんどない。その店というか、業者でもあるまいし、パン屋に頻繁に出入りする習慣がない。とすればセレブも、圧倒的に買い物の経験値が少ない(少なくとも市井のパン屋では)と言えるかもしれない。

  • パンは食事か体験か

上記にも触れたように、パン自体にそれほど興味がない私は、そのテーマで行くと後者、つまり「体験」側にウェイトがあるものと思われる。「パンがないならお米を食べればいいじゃない」という、イカれたマリー・アントワネットのようなことを言いかねない人種なのだ。

もし何らかの、どうにも致し方ない理由により、政府が「誠に遺憾の極みではあり、かつ突然のお知らせとなりますが、明日から国民の皆様方に置かれましては、パン食は禁止とさせていただきます」と発表しても、(あー・・・、えっ?あ、あー・・・・了解っす)と私はなるだろう。

つまり”食事”のウェイトが大きい人にとっては単価にせよ総額にせよ高いと感じやすく、”体験”もしくは”娯楽”のウェイトが大きい人にとっては単価にせよ総額にせよ、高い安いが分からないという現象が起きやすいと考える。

  • 結論

上記観点から、この問題(問題ではないが)について考察してみたが、どうだろうか。これら考察に加え、一人で消化するもの、家族4~5人で楽しむもの等の前提が違えば3000円は高いのか安いのかが分かれるように、「パンの価格は”前提”によって高くも安くもなる」と言えそうだ。

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